差役（読み）さしやく

精選版 日本国語大辞典

さし‐やく【差役】

〘名〙

① 仲裁する役目。また、その人。仲裁人。

※類聚国史‐一七三・疾病・弘仁四年（813）五月丙子「今諸国之吏、深乖_二委寄_一、或差役失_レ時、妨_二廃農要_一」

※歌舞伎・心謎解色糸（1810）序幕「わしが仲人(サシヤク)で料簡ならざア、喧嘩に技が咲きやすぞえ」

② 婚礼の時、夫婦固めのさかずきの酒をつぐ役目。また、その人。

※洒落本・世説新語茶（1776‐77か）変語「家老どんのおかっさまが、あぜはあ盃のさしやくが違ったんべへとって、ひてんのヲぶち込から」

さ‐えき【差役】

〘名〙 中国、宋の時代に行なわれた公用の人夫を徴発する方法。民戸を貧富の差によって九等の階層に分け、上の四等からは公用の人夫を提供させ、下の五等からは出さなくてもよいとするもの。〔制度通（1724）〕

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【差役】さえき

課役。

字通「差」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

世界大百科事典（旧版）内の差役の言及

【宋】より

…彼らはおもに唐末五代に台頭してきた新興地主階級つまり形勢戸の出身であったが，その例外も少なくはなかった。官僚になると，官戸として差役の免除をはじめ諸種の特典にあずかることができ，官僚の地位を利用して土地を買い集め，あるいは本来は官僚に禁じられている営利事業を行って大資産家になる者も多かった。しかし科挙は個人の実力いかんによるものであったから，子孫に引きつづき及第する者がいなければ，その家は衰えていく。…

※「差役」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」