巣籠(読み)すごもり

精選版 日本国語大辞典 「巣籠」の意味・読み・例文・類語

す‐ごもり【巣籠】

[1] 〘名〙
① 鳥などが巣の中にこもっていること。《季・春》
古今六帖(976‐987頃)六「あしたづのかひこめくつるすこもりのつひにかへらぬ身とや成りなん」
※俳諧・毛吹草(1638)五「ほととぎはまだ巣籠(スゴモリ)か声もなし〈貞盛〉」
② 菓子の名。小豆餡(あずきあん)に、小麦粉・砂糖などをねり合わせて表皮としたもの。
津軽の野づら(1935)〈深田久彌〉チヤシヌマ「お菓子は巣ごもりに青涼(せいりょう)だけ」
③ 小松を束ねて作った松飾りをいう。
※風俗画報‐二二四号(1901)緒言「一種巣籠といふ飾りかたあり」
[2] (「鶴(つる)の巣籠」の略)
[一] 尺八曲名。鶴が巣を作り、子を育て、巣から送り出すことを楽器だけで描写した曲。普化尺八の本曲。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第六六「駒のかしらも見えぬ編笠〈西鶴〉 巣篭をおのがつれふく里暮て〈宗実〉」
[二] (一)から出た胡弓の曲名。「みよぞまことに」の歌詞を持つが、長い合の手を聞かせる、トレモロの多い曲。
[三] 歌舞伎の下座音楽の一つ。笛を用いる。
※絵本戯場年中鑑(1803)上「巣籠(スゴモ)り忠臣蔵九だん目につかふ」

す‐ごも・る【巣籠】

〘自ラ四〙
① 鳥などが巣の中にこもる。
※歌仙本貫之集(945頃)九「鶴のおほくよそへてみゆるはまべこそ千年すごもる心なりけれ」
冬季、虫が土中にこもる。
※十巻本和名抄(934頃)八「蟄 野王案蟄〈除立反 訓須古毛流〉虫至冬隠不出也」
③ 家にとじこもる。
読本椿説弓張月(1807‐11)後「この三四年は蟄居(スゴモリゐ)て、かかる席(むしろ)にも列(つらなり)得ざるを」

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