川上(村)(奈良県)(読み)かわかみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「川上(村)(奈良県)」の意味・わかりやすい解説

川上(村)(奈良県)
かわかみ

奈良県中東部、吉野郡にある村。吉野川上流に位置し、深いV字谷の急斜面一帯にスギヒノキの人工美林が茂り、吉野林業の中心地。中心集落は迫(さこ)で村役場があり、式内社丹生(にう)川上神社上社が鎮座する。村内には金剛寺、自天親王神社など後南朝の歴史にまつわる遺跡、伝承地が多く、毎年2月5日には親王の遺品を拝する「朝拝式」が行われる。北部の大峰山脈は吉野熊野国立公園の一部をなし、国指定の天然記念物三ノ公(さんのこう)川トガサワラ原始林や灌漑(かんがい)・発電用の大迫(おおさこ)ダムなどがあり、ダム北岸には入之波(しおのは)温泉がある。大迫ダムの下流には大規模な多目的ダムの大滝ダムがある。大滝ダムは1988年(昭和63)から本体工事が行われ、2003年(平成15)3月には試験湛水(たんすい)を開始したが、白屋地区において地すべりが発生、その後迫地区などでも地すべりがおきたため現在は地すべり対策の工事を行っている。吉野川に沿って走る国道169号(東熊野街道)は木材のトラック輸送に利用され、伯母峰(おばみね)峠から大台ヶ原山へはドライブウェーが通じる。特産品は茶、シメジ、柿(かき)の葉ずしなど。過疎化が進んでいる。面積269.26平方キロメートル、人口1156(2020)。

[菊地一郎]

『『川上村史』全2巻(1987、1989・川上村)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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