山田氏(読み)やまだうじ

改訂新版 世界大百科事典 「山田氏」の意味・わかりやすい解説

山田氏 (やまだうじ)

地名に由来して山田氏を名のる者は多いが,中でも著名なのは尾張国山田郡を本拠とする尾張源氏の山田氏である。《尊卑分脈》によれば,清和源氏満政流の重実の子重貞が山田氏を名のった。彼の兄弟も浦野,葦敷など尾張の地名を名字とする。治承・寿永の内乱には源行家軍に加わり1181年(養和1)3月墨俣川で平重衡軍に大敗し,山田重満をはじめ多くの一族が討たれたが,鎌倉幕府が開かれて後は有力な御家人の一人として山田重澄の名が《吾妻鏡》に見える。承久の乱(1221)には京方の武士として幕府軍と戦うが敗れる。山田次郎重忠らの奮戦は《吾妻鏡》や《承久記》に詳しい。この乱によって山田氏の勢力は大きくそがれたが,一族はその後も尾張,美濃に継続した。このほか,伊賀国山田荘を名字の地とする伊賀平氏の山田氏も《保元物語》や《平家物語》などに見え,著名である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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