山根翠堂(読み)やまねすいどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山根翠堂」の意味・わかりやすい解説

山根翠堂
やまねすいどう
(1893―1966)

いけ花作家。本名は広治(こうじ)。兵庫県に生まれる。大正の初めいけ花を志し未生(みしょう)流を学ぶ。かたわら文学、美術宗教に傾倒するとともに形式化したいけ花の現状に不満を抱き自由花運動をおこし、1927年(昭和2)真生(しんせい)流を創始する。いけ花を色彩線条の美的構成としてとらえ、その近代化を目ざす一方で、いけ花のなんたるかを追究する求道者としても優れた提言を行ってきた。

[北條明直]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「山根翠堂」の解説

山根翠堂 やまね-すいどう

1893-1966 大正-昭和時代の華道家。
明治26年3月8日生まれ。山根有三の父。未生(みしょう)流をまなび,昭和2年真生(しんせい)流をおこす。伝統様式にしばられない自由花を提唱し,あたらしい感覚による生け花創造につとめた。昭和41年6月17日死去。73歳。兵庫県出身。本名は広治。

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世界大百科事典(旧版)内の山根翠堂の言及

【いけばな】より

…安達潮花はこれを当初飾花(かざりばな)とも呼んだが,当時のブルジョア層の応接間という新しい室内空間に機能するものとして発展していった。こうした新しい形式の盛花の出現に刺激されて,西川一草亭に代表される文人花の長所に注目し,形よりも理念を先行させたいけばなを目ざして山根翠堂たちによる自由花の運動がはじめられた。明治の修養主義から大正の教養主義の時代へと,いけばなの自由花もまた人間の教義としてのいけばなを問い,その確立を志した。…

※「山根翠堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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