朝日日本歴史人物事典 「山本利兵衛(3代)」の解説
山本利兵衛(3代)
生年:明和7(1770)
江戸後期の蒔絵師。名は光春,嶺月と号した。蒔絵師山本利兵衛家の3代目で,2代周三の子。初代利兵衛武継は,丹波国(京都府)桑田郡に生まれた。宝永年間(1704~11)のころ京に出,吉文字屋某の弟子となって漆芸の技を極めた。正徳4(1714)年に独立開業し,「室町通今出川下ル」に住したという。初代はじめ,歴代の利兵衛は天皇即位の調度制作を承り,3代光春も,文化14(1817)年に仁孝天皇の即位調度の蒔絵を命ぜられたと伝える。蒔絵を2代周三に学んで名手と称され,また吉田元陳に狩野派の画技を学ぶなど,多芸の人として知られる。
(小川幹生)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報