朝日日本歴史人物事典 「山下りん」の解説
山下りん
生年:安政4.5.25(1857.6.16)
日本最初のイコン(聖母像)画家。常陸国(茨城県)に笠間藩士の娘として生まれる。生来絵が好きで,明治10(1877)年工部美術学校に入学。A.フォンタネージに師事する。この間ハリストス正教に入信しニコライから受洗。ニコライの命で同13年ロシアのペテルブルク女子修道院に留学しイコンを学ぶ。同16年帰国。のち35年にわたって東京駿河台のニコライ堂(1891年竣工)内に起居し,北海道から関東に至る各地の教会のためにイコンを描き続けた。現存する代表作に函館ハリストス教会の「十二大祭図」がある。画には西洋画の影響とともに東洋的な表情があり,彼女の信仰を物語っている。<参考文献>川又一英『われら生涯の決意』
(篠崎恭久)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報