日本大百科全書(ニッポニカ) 「小穴隆一」の意味・わかりやすい解説
小穴隆一
おあなりゅういち
(1894―1966)
洋画家。長野県に生まれる。開成中学校中退。1914年(大正3)に結成された二科会に出品、のちに春陽会に移った。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の親友で、芥川の著作集の装丁をしたり、芥川をモデルにした作品『白衣』(1922)を発表している。俳句をつくり(号、一游亭(いちゆうてい))、随筆を書き、随筆集『鯨(くじら)のお詣(まい)り』(1940)、『白いたんぽぽ』(1954)があるが、『二つの絵』(1956)にまとめられた芥川関係の発言が、一時芥川私生児説を巻き起こすなど注目された。
[海老井英次]
『森本修著『新考・芥川龍之介伝』(1971・北沢図書出版)』