富岡(町)(読み)とみおか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「富岡(町)」の意味・わかりやすい解説

富岡(町)
とみおか

福島県浜通り中部、双葉郡(ふたばぐん)にある町。1900年(明治33)町制施行。1955年(昭和30)双葉町と合併。海岸部をJR常磐(じょうばん)線、国道6号(陸前浜街道)が通じ、2004年(平成16)常磐自動車道が延長されて常磐富岡インターチェンジが設置された。阿武隈(あぶくま)高地の延長で、町域は丘陵性の地形が広く、海岸段丘上には東京電力福島第二原子力発電所がある。農・漁業を中心とする産業から、ゴム、弱電、縫製などの工業に転化する傾向がみられる。国や県の出先機関も多く、浜通り中部の中心的存在。夜の森(よのもり)公園は桜の名所。面積68.39平方キロメートル、人口2128(2020)。

原田 榮]

〔東日本大震災〕2011年(平成23)の東日本大震災では死者452人・行方不明6人、住家全壊355棟・半壊2819棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。あわせて東京電力福島第一原子力発電所の原発事故による放射能汚染によって避難指示区域(のちに避難指示解除準備区域・居住制限区域・帰還困難区域再編)となった。2017年4月には帰還困難区域に指定された北東部の一部地域を除いて避難指示は解除され、これに先立って役場も町内で業務再開した。2017年10月には常磐線が東京方面から富岡駅までの運転を再開。しかし、2019年3月1日時点で、県内避難者は4655世帯・9544人、県外避難者は1325世帯・2547人にのぼり、町内居住者は617世帯・877人にすぎない(富岡町「避難・居住先別人数」)。なお、東京電力は2019年(令和1)7月、福島第二原子力発電所の廃炉を決定すると正式に表明した。

[編集部 2019年10月18日]

『石川正義著『富岡町史資料――富岡周辺の歴史』(1973・富岡町)』『『富岡町史』全4巻(1986~1989・富岡町)』


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