安藤 正楽(読み)アンドウ セイガク

20世紀日本人名事典 「安藤 正楽」の解説

安藤 正楽
アンドウ セイガク

明治〜昭和期の人権思想家,歴史学者 愛媛県議。



生年
慶応2年11月15日(1866年)

没年
昭和28(1953)年7月24日

出生地
伊予国宇摩郡中村(愛媛県土居町)

学歴〔年〕
明治法律学校(現・明治大学)卒,東京帝大

経歴
愛媛県・土居町の豪農の長男として生まれる。明治21年22歳の時、離婚して上京。明治法律学校(現・明治大学)でイタリア人法学者アレッサンドロ・パテルノストロの国際法を受講したのを機に非戦主義に傾倒。のち帰郷し、34歳の時宇摩郡会議員、35年36歳の時愛媛県会議員に。政治の世界に嫌気がさし、一期4年で引退。41年再び上京し、東京帝大人類学教室、歴史教室で日本古代史を研究。一方、書画や歌、詩などに優れた才能を発揮し、武者小路実篤与謝野晶子尾崎行雄など幅広く親交を結んだ。軍事色が強まるなか反差別主義と平和主義を提唱。詩や歌に非戦の精神を詠んだだけでなく、愛媛県会で反軍演説を行う。また、40年土居町に建立された戦争記念碑「日露戦後紀念碑」に忠君愛国の思想を批判する碑文を書いた。43年大逆事件に連座する形で逮捕拘留され、その碑文は全文削除された。昭和28年86歳で死去著書に「石器時代図文綜観」「古事記新論」「高句麗・新羅世系論」などがある。その後甥の山上次郎により「非戦論者安藤正楽生涯」や「安藤正楽遺墨集」などが出版、平成5年縁者により碑文も復刻された。10年松山市で世界人権宣言50周年を記念し、正楽の思想を評価するシンポジウムが開催された。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報