宇流富志祢神社(読み)うるふしねじんじや

日本歴史地名大系 「宇流富志祢神社」の解説

宇流富志祢神社
うるふしねじんじや

[現在地名]名張市平尾

ふじにある旧県社。宇奈根神ほか春日神などを祀る。宇奈根神には貞観三年(八六一)四月一〇日に従五位下が、同一五年九月二七日に従五位上が授けられた(三代実録)。「延喜式」神名帳に宇流富志祢神社とあり、これが宇奈根神とされる。康保三年(九六六)四月二日の伊賀国夏見郷刀禰等勘申案(東大寺文書)に「宇奈(ママ)社祝礒部」の署名がみえ、当社の祝が夏見なつみ郷刀禰の一員であった。建治二年(一二七六)の伊賀国黒田庄官物結解(一誠堂待賈文書)には「宇奈根神田壱反、宇奈根御供免参反」とある。

武甕槌命や春日三神を祀るのは、ここが春日神遷幸の旧跡地との伝承による。「春日社記」に「神護景雲元年六月廿一日伊賀国名張郡夏見郷一瀬河爾弖御沐浴、以鞭為験立給成樹付」とあり、同趣旨が諸書にみえる。しかしこの夏見郷一瀬いちのせの旧跡地は、種々の伝承より考えて夏見の積田せきだ神社に比定されると思われ、「伊水温故」に平尾ひらお村の春日大明神は「夏見宮より勧請」とあるように、積田神社の春日神をのちに勧請したものと推量される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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