宇多庄(読み)うだのしよう

日本歴史地名大系 「宇多庄」の解説

宇多庄
うだのしよう

現泉大津市の宇多・式内しきない町・高津たかづ町・清水しみず町、泉北郡忠岡ただおか町西部など大津おおつ川流域に設けられた皇室領庄園。安元二年(一一七六)二月日付の八条院領目録(内閣文庫蔵山科家古文書)に「和泉国宇多勅旨」とみえるように、その起源宇多天皇勅旨田に発すると考えられる。藤原頼長の「台記」久安三年(一一四七)五月一八日条・二〇日条・二七日条・二八日条によると、頼長は梅宮社司・学館院・宇多庄のことにつき鳥羽法皇に密奏しており、本来ならば宇多庄務執行は学館院別当橘以長であるが、故待賢門院璋子(鳥羽皇后)遺志ということで、基仲に宇多庄務および梅宮社務を行わせることとしている。学館院は橘氏の大学別曹、梅宮社は橘氏の氏社であるが、藤原頼長は同年三月二九日に橘氏是定(長者)の宣旨を被っており、学館院の再興に意欲的であった。貴族の別曹が氏寺・氏社の管理事務をつかさどり、長者がその付属所領を管領するのが例であったから、この時期宇多庄は学館院領として橘氏是定頼長の支配下にあったと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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