学令(読み)がくりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「学令」の意味・わかりやすい解説

学令
がくりょう

養老令(ようろうりょう)』(757施行)の第14篇(へん)で、22条からなる。『大宝(たいほう)令』(701施行)にもほぼ同じ内容のものが存在したと考えられる。唐令(とうれい)の学令を継受したもの。式部省被管の大学寮が大学を管掌し、ほかに国ごとに国学が置かれたが、本令はそれらの教官の任用・考課、学生の入学資格、教科明経道(みょうぎょうどう)、算道書道)の教科書と教授法や試験方法、学生の生活に関する規定を定める。また、大学・国学が毎年2月・8月上丁の日に孔子を祀(まつ)る釈奠(せきてん)を行うことも定める。なお、規定の成績を修めた学生は官人採用試験を考課令に基づいて受けたのち、及第すれば選叙令の規定に従って位を授けられ官人として出身する。

[石上英一]

『井上光貞他著『律令』(1976・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「学令」の解説

学令
がくりょう

大宝・養老令の編目。養老令では第11編で全22条。唐令を継受し,学制を規定。第1条は博士・助教の任用規定,ついで学生の資格を五位以上の子孫,東西史部(ふひとべ)の子を優先とし,国学では郡司子弟と規定する。以下,釈奠(せきてん)の規定,講義内容や試験についての細則から学生の日常生活の規範まで,大学・国学の制度全般を定める。明経(みょうぎょう)道・算道のみ設定するが,平安時代には明法(みょうぼう)道・文章(もんじょう)道(紀伝道)を加えた四道が確立した。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android