始相(読み)しそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「始相」の意味・わかりやすい解説

始相
しそう

生態学用語。既存植生が破壊されたり、新しい土地が出現して裸地が形成されたときに最初に成立する群落のことで、先駆相ともいう。裸地から始まる一次遷移と、植生破壊から始まる二次遷移では種組成も生活型も異なる。一次遷移では最初に多年生草本、低木類などが局所的に侵入する場合が多いが、二次遷移では一年生草本が侵入したり、前の植生の地下器官などが残っていて、栄養繁殖によって、直接、前の植生が再生する場合もある。一般的に始相を構成する種は種子散布能力が大きいか、もしくは、埋土(まいど)種子としての寿命が長い種が多く、裸地に真っ先に侵入できる。さらに始相における植物の初期成長速度は極相種に比べると大きいため、裸地では最初に群落を形成する。

[大澤雅彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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