夷守岳(読み)ひなもりだけ

日本歴史地名大系 「夷守岳」の解説

夷守岳
ひなもりだけ

小林市の南西部を占める霧島火山の一つで、標高一三四四・一メートル。コニーデ型の火山で、霧島山の北東隅に位置している。霧島火山中では更新世の旧期の火山活動に属し、噴火口原形はほとんどとどめていない。山頂付近から西部および東部には大規模な崩落の跡がみられ、北部山麓は広く溶岩台地に覆われている。南部丸岡まるおか(一三二七メートル)を経て大幡おおはた池に続く。標高約三〇〇―四〇〇メートルにかけての広大な溶岩台地の裾野は県下第一の酪農地帯で、北麓の生駒いこま高原は花の名所で、コスモス・菜の花・アイスランドポピーの群落がみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「夷守岳」の意味・わかりやすい解説

夷守岳
ひなもりだけ

宮崎県南西部、霧島山(きりしま)に属する火山。標高1344メートル。小林市(こばやしし)南西部にそびえるコニーデ型火山で、更新世(洪積世)の古期に噴火活動をした。火口はすでに破壊されており、東部、西部の急崖(きゅうがい)は著しい山地崩壊の跡をとどめる。山麓(さんろく)は生駒(いこま)高原や夷守台などなだらかな溶岩台地である。南部は丸岡(まるおか)山、火口湖大幡(おおはた)池が連なる。

[横山淳一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の夷守岳の言及

【霧島山】より

…これらの楯状火山の山体上および周辺地域では,おもに更新世末以降現在に至るまでの期間に,多くの場所で噴火活動が起こり,安山岩質の比較的小規模な火山体や火口が多数形成された。韓国岳,大浪池(1411m),新燃(しんもえ)岳(1421m),中岳(1332m),御鉢(おはち)(約1400m),高千穂峰(1574m)などの霧島火山中央の山頂部を構成する山体,並びに飯盛山(846m),甑(こしき)岳(1301m),夷守(ひなもり)岳(1344m),大幡山(1353m)などの山体,さらに六観音御池(ろくかんのんみいけ),白紫(びやくし)池,不動池,大幡池,御池(みいけ)などの火口はこの時期に形成された。これらの火口や火山体は,生成時期が新しいため,いずれも山体の開析はあまり進んでいない。…

※「夷守岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」