天宝堤(読み)てんぽうづつみ

日本歴史地名大系 「天宝堤」の解説

天宝堤
てんぽうづつみ

奈良時代、麁玉あらたま(天竜川の旧名)に築かれたとされる堤防。現在の天竜川より西方二・五キロの道本どうほん遺構の一部が残る。奈良時代の天竜川の流路が、現在の馬込まごめ川の流路に近いものであったためである。「続日本紀」天平宝字五年(七六一)七月一九日条に麁玉河の堤防三〇〇丈余が決壊したため、三〇万三千七〇〇人余の人々を徴発し、食糧を与え、修築したと記されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の天宝堤の言及

【遠江国】より

…《正倉院文書》中に740年(天平12)の〈遠江国浜名郡輸租帳断簡〉があり,現在は湖底に水没した当時の水田が風害にあったようすや農民の家族構成などを知ることができる。災害はまた麁玉河(天竜川)の氾濫によってもしばしばもたらされ,761年(天平宝字5)の大決壊を修理した天宝堤は,今もそのなごりを浜北市にとどめている。遠江国を象徴する浜名湖には浜名橋がかけられ,884年(元慶8)には大規模な改作の行われたことが《日本三代実録》に見える。…

※「天宝堤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android