大野山(読み)おおやさん

日本歴史地名大系 「大野山」の解説

大野山
おおやさん

川辺郡の最北端篠山市との境界に位置する。標高七五三・五メートル。摂丹国境の山として知られ、猪名川はここに源を発する。山頂の平坦部で縄文時代早期末の土器片やサヌカイトチャート剥片が発見されている(猪名川町史)。古く周辺五ヵ村を寺領とする日光につこう寺があったと伝える(「大野山日光寺開山実記」地蔵院文書)。摂丹の峠道にある馬蹄七つ石は元禄四年(一六九一)刊の「多田満仲五代記」に「ソレヨリ北ハ丹波国ノ境杓子峠ニ馬ヲ駐メ、岩ノ上ニ打アゲ玉ヘバ、足アト又ここニ残ル、此ヨリ南ハ多田ト定メ玉フ也」とあり、満仲が多田庄の四至を定めたという伝承の地。「摂津名所図会」には世の奇岩として紹介され、名所となっていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報