大泊村(読み)おおとまりむら

日本歴史地名大系 「大泊村」の解説

大泊村
おおとまりむら

[現在地名]七尾市大泊町

灘浦なだうら海岸に沿う細長い村。北は東浜とうのはま村、南は越中氷見郡境。大泊鼻おおとまりばな周辺は急崖が迫り、背後石動せきどう山地に続く地滑地帯。地名は大きな船が係留できる湊の意(能登志徴)、また宿那彦神像石すくなひこかみかたいし神社参詣のため下向した王が止宿したことに由来するという(鹿島郡誌)。初め加賀藩領。土方雄久知行目録に村名がみえ、慶長一一年(一六〇六)以降高五四一俵余が土方領、うち三割五分は百姓得分。領主の変遷は八幡やわた村に同じ。正保郷帳によれば高二四〇石余、田方七町三反余・畑方八町七反余。

大泊村
おおどまりむら

[現在地名]熊野市大泊町

古泊こどまり村の西北、大泊湾の北奥にある。天正五年(一五七七)五月吉日那智山実報院道勢より大とまり紺屋宛の田地売券(米良文書)に「大とまり湊之上三百所」と記されている。慶長六年(一六〇一)検地帳(徳川林政史蔵)に「大泊村」とある。「紀伊続風土記」は「湾中狭少にして廻船等は繋り難し、泊の名は小舟の繋るよりいふなるへし」と記す。近世初期の家数三四(「新宮藩御勘定方旧記」和歌山県史近世史料編)。木本組に属する。寛文八年(一六六八)から正徳五年(一七一五)にかけて新田開発が行われた(「木本組大泊村新田畑改帳」徳川林政史蔵など)

大泊村
おおどまりむら

[現在地名]越谷市大泊

上間久里かみまくり村の北に位置し、北はあいの川を挟んで平方ひらかた村。集落は会の川の自然堤防上沿いに東西に連なる。当地からは延文六年(一三六一)をはじめ応安二年(一三六九)や天文九年(一五四〇)在銘の板碑が発見されている。地名は当地安国あんこく寺を開山(中興)したと伝える誠誉専故が、故郷の紀伊熊野大泊から名付けたと伝える。

大泊村
おおとまりむら

[現在地名]臼杵市大泊

板知屋いたちや村の東に位置し、臼杵湾に北面する。大泊浦ともいう(臼杵小鑑)。慶長二年(一五九七)の臼杵庄検地帳写(渡辺家文書)に村名がみえ高一二五石余、うち田方九〇石余・畑方三五石余、村位は中。同一一年の惣御高頭御帳では海添村組に属し同高、村役人に次郎右衛門・又右衛門を記す。正保二年(一六四五)の稲葉能登守知行高付帳には本高一一六石余・出来高九石余、日損所、「柴山少有」とある。

大泊村
おおどまりむら

[現在地名]南知多町山海やまみ

村の西方伊勢湾に面し、背後は急な山で、東は中須なかず村に接する。「寛文覚書」によれば、概高一六四石余、田地三町八反五畝、畑地一二町五反四畝余、戸数七六、人口四四八。小船一二艘があり、舟役御用の時舟と水主を出す。将軍上洛・朝鮮使節通行の時人馬を出すとある。元禄七年(一六九四)の知多郡大泊村由来帳(天神社蔵)によれば、鰯網二張、船一一艘、将軍上洛・朝鮮使節通行の時水主と舟を出し、紀州藩主の江戸往復の時には役舟と水主を出し、藩の用船の時にも水主を出すとある。「徇行記」によれば、民家は海浜に建並び古くから漕賈を営み、四〇―九〇石積のいさば船が一五艘、一二〇石積一艘がある。

大泊村
おおとまりむら

[現在地名]羽茂町三瀬さんせ 大泊

東は野崎のざき村、西は大石おおいし村、前面は海、背後は台地。沖合は岩礁地帯で、蛸漁・海藻採取などの磯ねぎ漁の適地である。草分は、蛸場持の福永福呂家・清水九平家・仲間庄兵衛家・猪股上家といわれ、三瀬地区の蛸石の権利保有者七人のうち四人を占める。元禄七年(一六九四)の検地帳(三瀬区有)では田六町二反余・畑九町三反余で、田地を所有する者五軒が重立百姓であった。「佐州巡村記」では戸口は一八軒・一二七人。字むねか平の新御林を当村・野崎・赤岩あかいわの三瀬三ヵ村で入会っているので、古くは三ヵ村で一郷をなしていたと思われる。かつては浦目付所が置かれた。当村には本・分家関係の家が数軒ある。

大泊村
おおとまりむら

[現在地名]門前町大泊

腰細こしぼそ村の南、日本海に面した海浜に立地。おきノ島をはじめ立岩・奇岩がある景勝地。正保郷帳では高四三石余、田方一町二反余・畑方一町六反余。承応三年(一六五四)の村御印の高四三石余、免三ツ六歩(能登奥両郡収納帳)。寛文一〇年(一六七〇)の村御印の高四七石、免五ツ一歩、小物成は山役九九匁、猟船櫂役二一〇匁(うち一一五匁出来)、外海舟櫂役二八匁・刺鯖役六匁、地国並他国人猟役三六匁(出来)であった(三箇国高物成帳)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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