大村収容所(読み)おおむらしゅうようじょ

改訂新版 世界大百科事典 「大村収容所」の意味・わかりやすい解説

大村収容所 (おおむらしゅうようじょ)

入国者収容所大村入国管理センターの通称で法務省入国管理局所管。長崎県大村市にある。従来,主として日本から韓国への強制退去者を一時収容する施設で,大村入国者収容所と呼ばれたが,1993年12月改称。前身は1950年10月1日外務省に設置された出入国管理庁の管轄のもとで旧佐世保引揚援護局針尾収容所を外務省針尾入国者収容所と改組したもので,同年末に大村の元海軍航空厰本館を改修して移転し大村入国者収容所となった。1万4000坪,1000人の収容能力をもち,51年11月出入国管理令が施行され,韓国からの難民(50年6月に朝鮮戦争が勃発している)を〈不法入国者〉として一時収容し強制送還したが,以前からの日本在留者も強制送還の対象とされた。52年法務省へ移管。1950年12月から80年6月までに約2万人の在日朝鮮人が送還されている。また被収容者の処遇刑務所の犯罪者と同じような状態にあったため,53-54年にはたびたび即時釈放,待遇改善などを要求し,座込み,所内デモ,ハンストなどが行われたが,収容所当局はこれを武力で弾圧し死傷者を出す事件となった。1980年代後半以降,収容対象者の多くが資格外就労の外国人となっている。
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