大巻摩工事役館跡(読み)おおまきさつまこうじやくやかたあと

日本歴史地名大系 「大巻摩工事役館跡」の解説

大巻摩工事役館跡
おおまきさつまこうじやくやかたあと

[現在地名]養老町大巻

揖斐いび川堤沿いの字上屋敷かみやしきにある宝暦治水工事の役所跡。宝暦三年(一七五三)幕府水害に悩む木曾長良・揖斐の三大河川とその支流域の輪中地帯の水行普請(治水工事)を大名御手伝普請として計画、御手伝役として鹿児島藩島津氏に命じた。幕府は勘定奉行一色周防守正を普請の総支配として幕臣など総勢七〇人の役人を配し、鹿児島藩は総奉行の平田靭負正輔、副奉行の伊集院十蔵久東をはじめ六七人の役人で監督・管理に当たった。幕府は第一期工事として毎年春役として地元が負担施工してきた定式普請および堤の切所、崩所、欠所の築立て、堤上置などの急破御普請を命じ、第二期工事として川分堤、洗堰・〆切堤、洗堰〆切、洲浚、掘割、砂留、砂利留などの水行御普請、また従来自普請として地元で行ってきた圦樋の伏替え・修復などの圦樋御普請、悪水堀と作場道への投渡橋架設などの田畑切上堀など個人の田畑にかかわる小工事にまで及ぶ工事を命じた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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