大佐井郷(読み)おおざいごう

日本歴史地名大系 「大佐井郷」の解説

大佐井郷
おおざいごう

別府湾に注ぐ大野川右岸の沿岸部から丘陵部にかけての低地に比定される。文治年中(一一八五―九〇)に宇佐宮太大工小山田貞遠が作成利用した宇佐宮仮殿地判指図(宇佐神宮蔵)に「大佐井郷」とみえる。同図には豊後一国平均役としての負担個所が明示されているが、当郷は置路甃六八丈五尺内若宮鳥居内一丈など五件となっている。この指図は、以後、国貞・為貞を経て弘安年間(一二七八―八八)の貞行まで相伝利用され、各所に追筆部分もみられる。また、豊後一宮由原ゆすはら社に対しても国衙沙汰郷郷役として、五月会流鏑馬六騎中四番を小佐井こざい郷とともに勤仕している。ほかに竜頭・相撲・御大路造の勤仕もみえる(正慶元年正月一一日「賀来社年中行事次第」柞原八幡宮文書)。これら郷郷役は文亀元年(一五〇一)一二月一三日時点まで確認できる(「賀来社遷宮等次第記」同文書)。大佐井郷を豊後国弘安田代注進状によってみると、「国領大佐井郷五拾町 地頭亀谷刑部大輔入道殿」とあるが、写本によっては地頭を「亀谷刑部太ママ入道女子」とするものもある(内閣文庫本)。国領として残されたのは、海上交通の要地であったためかとする説もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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