外陰潰瘍(読み)がいいんかいよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「外陰潰瘍」の意味・わかりやすい解説

外陰潰瘍
がいいんかいよう

女性性器の外陰部の皮膚や粘膜が損なわれて潰瘍となる疾患で、おもなものは梅毒、軟性下疳(げかん)、鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(にくがしゅ)(エスチオメーヌ)などの性病や、外陰結核、また外陰癌(がん)など悪性腫瘍である。そのほか、ヘルペスⅡ型などウイルスによることもある。急性外陰潰瘍はリプシュッツLipschütz病ともよばれ、原因不明であるが、若い女性の小陰唇周辺に小膿疱(のうほう)を生じ、これが破れて潰瘍となるが、3~4週のうちに自然に治る。ベーチェット病は、外陰の潰瘍とともに、目の虹彩(こうさい)炎や口腔(こうくう)粘膜の潰瘍を併発し、しばしば再発を繰り返す難病である。治療は原病の除去と対症療法が行われ、悪性の場合は外科的切除や放射線照射を行う。

[新井正夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例