増上慢(読み)ゾウジョウマン

デジタル大辞泉 「増上慢」の意味・読み・例文・類語

ぞうじょう‐まん〔ゾウジヤウ‐〕【増上慢】

[名・形動]
仏語。未熟であるのに、仏法の悟りを身につけたと誇ること。七慢の一。
自分を過信して思い上がること。また、そういう人や、そのさま。「増上慢をたしなめる」
「極端に―なこの叔母に」〈嘉村牡丹雪
[類語](2野狐禅やこぜん唯我独尊夜郎自大遼東のいのこ雪駄の土用干し天狗てんぐになる道を聞くこと百にして己にく者しと為す

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精選版 日本国語大辞典 「増上慢」の意味・読み・例文・類語

ぞうじょう‐まん ゾウジャウ‥【増上慢】

〘名〙
① 仏語。四慢、七慢の一つ。いまだ悟りを得ていないのに、悟ったとして思い高ぶること。増上我慢
往生要集(984‐985)大文一〇「増上慢人、二百億劫常不法」
十訓抄(1252)二「かれら罪根深重の増上慢にして、いまだ証せざるを証せりとおもひ、未得を得たりと思ふ」 〔法華経方便品
② (形動) 転じて、自負してえらそうにふるまうこと。また、そのさま。
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉教育「此緊縛の中よりして、増上慢の鬼は昂然として頭を擡げ」

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故事成語を知る辞典 「増上慢」の解説

増上慢

うぬぼれていること。

[使用例] 牧原はいらいらした。最近の中瀬は少し増上慢がすぎるようだ。牧原をないがしろにして、自分勝手をやる傾向が目立つ[内田康夫*華の下にて|1995]

[由来] 仏教で、まだきちんとした悟りを得ていないのに、すでに悟っていると思い込んでいる状態を指すことば。たとえば、「法華経ほう便べんほん」では、しゃ説法を聞かずに立ち去ってしまった人々のことを、「すなわち増上慢なり」と述べ、まだ悟りを得ているとも言えないし、真理に目覚めているとも言えない、と批判しています。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「増上慢」の意味・わかりやすい解説

増上慢
ぞうじょうまん

仏教用語。四慢,あるいは七慢の一つ。まだ悟りを得ていないのに,悟ったと思って高ぶること。

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