塔之沢(読み)とうのさわ

日本歴史地名大系 「塔之沢」の解説

塔之沢
とうのさわ

[現在地名]箱根町塔之沢

箱根七湯はこねななゆ沿いにあり、北に塔ノ峰がそびえ、村中はや川が流れ、東は湯本ゆもと村、西は大平台おおひらだい村、南は湯本茶屋ゆもとちややと接する。塔ノ峰山下の沢を開拓した村である。近世小田原藩領。正保国絵図には「塔ノ沢」、元禄国絵図には「東沢」、元禄・天保両郷帳ともに「東之沢」とある。「風土記稿」によれば小田原藩主稲葉正則が「塔」字を諱み「東」に改めたという。

慶長九年(一六〇四)山中洞窟で修行中の木食僧弾誓によって河原より温泉が発見され(「念光覚書」阿弥陀寺文書)、そののち多くの湯坪が発見されて箱根七湯の一つとなった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「塔之沢」の意味・わかりやすい解説

塔之沢[温泉] (とうのさわ)

神奈川県足柄下郡箱根町にある温泉。箱根外輪山から流れ出る早川のせまい峡谷に湧く。旧東海道(国道1号線)沿いにあって,江戸時代から箱根七湯の一つに数えられ,名湯としてにぎわった。泉質単純泉,泉温40~64℃。温泉街は東隣箱根湯本温泉に続いており,風格のある構えの旅館が多い。箱根登山鉄道塔ノ沢駅下車。
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