堺手鑑(読み)さかいてかがみ

日本歴史地名大系 「堺手鑑」の解説

堺手鑑
さかいてかがみ

一帖

成立 元禄八年

原本 専称寺旧蔵

解説 一七世紀後半期における堺の行政・施設・産業・宗教等を収録したもの。堺奉行所が編纂に関与したものと推量される。奉行所や役屋敷関係・寺社関係・町名・家数・町年寄等の町方関係・諸工商関係などを網羅している。ことに町方関係の記述から元禄六年に南北四辻制から二組制に移行した前後の町組構成が判明し、また糸割符・鉄砲関係の記述は堺の経済を物語るものとして貴重である。元禄二年堺大絵図と併せ用いることによっていっそうの効果を導き出すことができる。なお堺手鑑の類は江戸中期の宝暦七年(原本岡村平兵衛旧蔵、ただし坤巻のみ)、江戸後期の文化一〇年(原本正木直彦旧蔵)などが知られる。後者煙草包丁・薬種・綿売買などの諸株仲間の記載が充実し、また農人町の再開発、新地新田などが新たに加えられており、元禄八年の堺手鑑以降の都市環境の変化を物語る好個史料となっている。

活字本堺市史」巻五(元禄八年・文化一〇年)・「堺市史続編」巻五(宝暦七年)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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