坂井郷(読み)さかいごう

日本歴史地名大系 「坂井郷」の解説

坂井郷
さかいごう

古代は「和名抄」記載の旦来あつそ郷のうちに含まれたと考えられるが、久安元年(一一四五)一一月一日の秦宿禰守利私領売渡状案(間藤家文書)には三上みかみ院内一二郷のうちに坂井郷が記される。三上院の大部分の地はやがて大覚寺統系の皇室領荘園三上庄となるが、建武四年(一三三七)一一月二五日付高師直施行状写(南狩遺文)によると、坂井郷など荘内三郷の地頭職が足利尊氏より粉河こかわ(現那賀郡粉河町)に寄進された。しかし貞和五年(一三四九)五月日付の三上庄雑掌宗祐申状案(東寺百合文書)によると、大覚寺領三上庄の雑掌が「当庄内坂井郷地頭小倉十郎・神保弥二郎」の年貢抑留を訴えており、南北朝期に在地で混乱が生じていることが推測される。

坂井郷
さかいごう

「和名抄」諸本は訓を欠く。「大日本史国郡志」は「今坂井村、属蒲原郡奥山荘、与本郡相接」と記す。「日本地理志料」も同様の説をとり、坂井・荒沢あらさわ黒川くろかわ蔵王ざおう熱田坂あつたざか(現北蒲原郡黒川村)梨木なしのき坂町さかまち鍛冶屋かじや(現岩船郡荒川町)一帯にあてる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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