国約憲法論(読み)こくやくけんぽうろん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国約憲法論」の意味・わかりやすい解説

国約憲法論
こくやくけんぽうろん

人民の代表者で構成する憲法議会が憲法制定にあたるべきだとする自由民権派の憲法論。明治政府の欽定(きんてい)憲法論と対立した。立憲政体樹立を要求する民権派は、1880年(明治13)3月の国会期成同盟第1回大会で、まず国会を開設し、ついで国民代表による会議で憲法を制定するとの方針を定め、同年11月の第2回大会で、同盟参加の各政社において憲法案を研究作成することを決めた。以後、国約憲法論は、民権各派はもちろん、民間の憲法論の大勢であったが、政府が81年10月の詔勅で憲法欽定を明示して以来、国約憲法論を公言することは困難となり、主権および憲法の諸原則をめぐる論争が展開することになった。

[松永昌三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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