デジタル大辞泉
「嗅」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
か・ぐ【嗅】
〘他ガ五(四)〙
① 嗅覚によってにおいを知る。鼻でにおいを感じとる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)五「一切の世間の
殊妙の香を、聞
(カキ)たまふ時に」
※
古今(905‐914)夏・一三九「五月まつ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする〈よみ人しらず〉」
※洒落本・富賀川拝見(1782)尾竹屋の段「お客をかひであてよふか」
※それから(1909)〈
夏目漱石〉二「斯様に陳腐な秘密を嗅
(カ)いで嬉しがる様に
退屈を感じてはゐなかった」
[語誌]「香をカグ」という表現が中古初期から認められ、
中世以降へと続く。「
遊仙窟」の「聞香気」を訓点資料では真福寺本の「香き気を聞
(カ)イ(テ)」をはじめとして、カグと訓んだと考えられるのに対し、元祿三年(
一六九〇)の「遊仙窟抄」では「聞
二香気
一(カウハシキキヲキイテ)」と訓んでいる。中世においてカグと
キクとの両様の言い方が生じたことについては、「大言海」の「聞香を、香をかぐと読むべきを、きくと、文字読に誤り読みたる語なり」との指摘が参考になる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報