唐紙(からかみ)(読み)からかみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐紙(からかみ)」の意味・わかりやすい解説

唐紙(からかみ)
からかみ

遣唐使船などによって中国から渡来した紙。平安時代に、模様のある唐紙衝立(ついたて)や襖(ふすま)障子に張られるようになり、室町時代以後は国産の優れた品も普及したが、江戸時代になると襖専用の紙を「から紙」、中国産の紙を「とう紙」とよんで区別し、襖そのものを「からかみ」とよぶようになった。

 木村青竹(せいちく)編『紙譜(しふ)』(1777)に、「縦九寸九分、横一尺六寸、是襖(これふすま)、屏風(びょうぶ)の上張紙にて模様数品、金銀泥まがひ等、おのおの其好に随(したが)ふ」とあり、現在のような襖1枚の大きさではなく、1枚ないし12枚の小形紙の模様を張り継いだ。胡粉(ごふん)、雲母(うんも)、金銀砂子(すなご)、漆などを使って加工した紙は、江戸時代に光悦紋様などとともに流行し、有名社寺、商家家元・宗家などが専用の版木を彫らせて、唐紙師を繁盛させた。現在は京都でただ1軒だけが伝統の技術を伝承し、茶室数寄屋造(すきやづくり)の内装用として愛好されている。

[町田誠之]

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