口筆(読み)くちふで

精選版 日本国語大辞典 「口筆」の意味・読み・例文・類語

くち‐ふで【口筆】

〘名〙
① 口と筆。口で言ったり、筆で文字や絵を書いたりすること。
※栄花(1028‐92頃)初花「この世のみかどの御心よりも勝れさせ給へりけるも、我御くちふでに仰せ給て」
② 口にくわえた筆。また、その筆で書くこと。
歌舞伎彩入御伽草(1808)小平次内の場「硯箱の筆を口に咬へ、墨を含ませ、上の屋体の障子へ口筆(クチフデ)にて、一点打つ」
[補注]①の「栄花‐初花」の例は「随筆・嬉遊笑覧‐三」に「栄花に御くち筆とあるは今の口上書といふものにや」とある。

こう‐ひつ【口筆】

〘名〙 口で述べることと筆記すること。話したことと書いたこと。口述と筆記。
※相模石田文吉氏文書‐宝治三年(1249)正月一〇日・関東下知状「彼契状者、結乳母冷泉女之手跡也。以結口筆彼状云云者」

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