取坊(読み)とりんぼう

精選版 日本国語大辞典 「取坊」の意味・読み・例文・類語

とりん‐ぼう ‥バウ【取坊】

〘名〙
遊里で、遊女を騙(だま)してその金品をまきあげる客。また、客をだまして金品をまきあげる遊女。
② (転じて) 遊女に騙されて金品をまきあげられる客。取られん坊。
評判記・吉原讚嘲記時之大鞁(1667か)ゆふきり「しんぞうのごとく、うつくしくかざり給へば、あをき、とりんほうの、のばするもことわり也」
③ ひやかし。素見(すけん)
洒落本・娼妓絹籭(1791)二「徃古吉原にてはとりんほうと云ひ、今は素見といふ」

とうれん‐ぼう ‥バウ【取坊】

〘名〙 「とられんぼう(取坊)」の変化した語。また一説に、「とうれん」は党連で、一党を集め連れ行くの意とし、江戸元吉原地回り連中をさすという。
※俳諧・俳諧三部抄(1677)上「登蓮坊まめなる所や花すすき〈義解〉」

とられん‐ぼう ‥バウ【取坊】

〘名〙 (「とられんぼ」とも) 遊女にだまされて金品をとられる客。
※評判記・あづま物語(1642)「やかれつつ、かねのあるほど、とられんほ、のちはかならず、桶伏としれ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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