反対の一致(読み)はんたいのいっち(英語表記)coincidentia oppositorum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「反対の一致」の意味・わかりやすい解説

反対の一致
はんたいのいっち
coincidentia oppositorum

ニコラウス・クザーヌスの重要な概念。『知ある無知』 De docta ignorantiaにおいて展開されている,神の属性に関する思想。絶対者たる神は有限者のあらゆる対立矛盾をこえ総合する絶対的,統一的存在である。すなわち可能であるとともに存在であり posse-esse,最大であるとともに最小である maximum-minimum。したがって神は「反対一致」としてとらえられ,われわれが神に近づきうるのは識別的悟性認識ではなく,「知ある無知」「理解なき直観 visio sine comprehensione」によってである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android