南三陸(読み)みなみさんりく

改訂新版 世界大百科事典 「南三陸」の意味・わかりやすい解説

南三陸[町] (みなみさんりく)

宮城県北東部,本吉郡の町。2005年10月歌津(うたつ)町と志津川(しづがわ)町が合体して成立した。人口1万7429(2010)。2011年3月の東日本大震災では,死者行方不明1199人,全壊住宅3880戸にのぼった。

南三陸町北東部の旧町。本吉郡所属。人口5642(2000)。三陸海岸の南部にあり,志津川湾と本吉湾を分ける小半島が突出している。北上高地から続く丘陵が海まで迫り,屈曲に富むリアス海岸をつくる。伊里前など11の漁港があり,県内一の水揚げアワビをはじめワカメ,ノリなどの養殖や定置網漁が行われる。遠洋漁業に従事する者も多い。山間の集落ではかつて製炭や養蚕が行われたが,近年は酪農肉牛など畜産が多い。1970年に館崎で世界最古の魚竜のグループと考えられる歌津魚竜化石が発見され,〈歌津館崎の魚竜化石産地および魚竜化石〉として天然記念物に指定された。海岸部は南三陸金華山国定公園に指定され,長須賀海岸は海水浴場としてにぎわう。JR気仙沼線が通じる。

南三陸町中南部の旧町。本吉郡所属。人口1万4218(2000)。三陸海岸の南部,志津川湾に面し,北上高地から続く丘陵が海岸まで迫る。中心集落の志津川は,中世は葛西・千葉両氏が支配したが,近世には仙台藩の直轄地となり,東浜街道の宿駅が置かれ,生糸海産物の取引でにぎわった。現在も旧本吉郡南部の行政・商業の中心地である。農漁業が主産業で,農業では養蚕,酪農などが行われ,漁業では定置網漁やワカメ,カキなどの養殖が盛ん。志津川漁港を基地に遠洋・沖合漁業も行われ,魚市場もある。かつてタコの漁獲が多かったが,近年は減少し,ギンザケ養殖が盛んとなっている。1960年のチリ地震津波では大被害を被り,その後長さ約3kmの防潮堤が市街地前面に建設された。海岸部は南三陸金華山国定公園に属する景勝地で,1977年には気仙沼線が開通し,観光開発にも期待がかけられている。タブノキの原生林でおおわれた椿島の暖地性植物群落は天然記念物に指定されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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