日本大百科全書(ニッポニカ) 「医王寺(石川県)」の意味・わかりやすい解説
医王寺(石川県)
いおうじ
石川県加賀(かが)市山中温泉薬師町(やまなかおんせんやくしまち)にあり、高野山(こうやさん)真言宗の準別格本山。もとは山中護持明院(ごじみょういん)といわれた。日本三薬師の一つ。薬師如来(にょらい)の霊告によって温泉を発見した行基(ぎょうき)が、自刻の薬師如来を安置したのが草創の由来である。その後、一時廃れたが、源頼朝(よりとも)の家臣長谷部信連(はせべのぶつら)がふたたび湯の湧(わ)くのを発見し、地中からみつけた薬師如来を祀(まつ)る堂を建て、国分山(こくぶざん)医王寺とした。寺宝に『山中温泉縁起絵巻』2巻があり、また陶製の金剛童子立像は国指定重要文化財である。
[野村全宏]