北朝鮮の核兵器製造(読み)きたちょうせんのかくへいきせいぞう

知恵蔵 「北朝鮮の核兵器製造」の解説

北朝鮮の核兵器製造

北朝鮮は、米国・ブッシュ政権2期目発足早々の2005年2月10日、外務省声明の中で、6者(6カ国)協議への参加を無期限に中断する旨を言明するとともに、「自衛のために核兵器を製造した」と初めて核保有を宣言した。北朝鮮は4月に入って、寧辺(ニョンビョン)にある黒鉛減速炉(5000kW)の稼働を停止して使用済み核燃料の取り出しにかかった事実が米国の偵察衛星の監視などで判明した。北朝鮮外務省報道官は5月11日、稼働を停止した原子炉から8000本の使用済み核燃料を「最短期間内に成功裏に取り出した」とし、さらに1994年の米朝枠組み合意によって凍結していた5万kW、20万kWの原子炉の建設再開を言明、「核兵器庫を増やすのに必要な措置を引き続き講じている」と核兵器増産の意思を改めて表明した。北朝鮮は02年10月、新たに米国が指摘したウラン濃縮 (広島型原爆の開発につながる)疑惑で米国と対立、12月、国際原子力機関(IAEA)の査察官を追放、03年1月には核不拡散条約(NPT)からの脱退を表明し、米朝枠組み合意で凍結していた黒鉛減速炉を再稼働させていた。この炉からは既に別の8000本の使用済み核燃料が取り出されており、北朝鮮は03年10月にプルトニウム(長崎型原爆の開発が可能)を取り出す再処理が終わった、と言明している。米情報機関は、北朝鮮が既に核兵器6〜8個分のプルトニウム約50kgを保有していると推計している。同時に、弾道ミサイル頭部に搭載できるような核兵器の小型化も進めているはずである。

(2008年)

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