拳玉とも書く。15センチメートルほどの棒の先端を剣形にとがらせ、ほかの端は皿形につくり、棒には底に穴のあいた球を紐(ひも)で結び付けてある木製玩具(がんぐ)。紐を振って反動をつけながら球を剣の先に挿したり、皿に受けたりして遊ぶ。江戸時代に中国あたりから渡来。1830年(天保1)刊の『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』には、「安永(あんえい)六、七年(1777、1778)のころ、拳玉というものできたり。(略)其(その)玉を投げて猪口(ちょこ)の如(ごと)きものの凹(くぼ)みにうけ(略)若(もし)うけ得ざる者に酒を飲ましむ」とあって、当時は酒席の座興に用いた。明治期以後は子供の玩具となり、明治末期から流行。大正、昭和初期にかけて「日月ボール」の名で登場。子供らの人気を集めた。ヨーロッパにもカップ・アンド・ボールcup and ballとよぶ同じような遊戯具がある。
[斎藤良輔]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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