前九年合戦絵巻(読み)ぜんくねんかっせんえまき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「前九年合戦絵巻」の意味・わかりやすい解説

前九年合戦絵巻
ぜんくねんかっせんえまき

絵巻。平安末期の前九年の役に取材したもの。2本が伝わり、国立歴史民俗博物館の一巻(重文)は、逸脱箇所があるが、合戦初期の場面を多く残す。鎌倉時代、13世紀中期にさかのぼる制作とみられ、手堅い描写を用いて古様作風が支配的。東京国立博物館の一巻は絵のみの短い残欠本で、図様が歴博本に酷似する箇所もあるが、鎌倉後期(14世紀)の画風を示している。

[村重 寧]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「前九年合戦絵巻」の意味・わかりやすい解説

前九年合戦絵巻
ぜんくねんかっせんえまき

前九年の役を描いた絵巻。現在文化庁保管本と東京国立博物館保管本の2種が伝存前者は 13世紀中期の作で1巻,後者戦役の発端部の絵のみが残り,14世紀初期の作。ともに紙本着色。

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