剃髪刑(読み)ていはつけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「剃髪刑」の意味・わかりやすい解説

剃髪刑
ていはつけい

頭髪をそる刑をいう。鎌倉幕府御成敗式目(ごせいばいしきもく)34条は、道路で強姦(ごうかん)した郎従(ろうじゅう)以下の者は、片方鬢髪(びんぱつ)をそり除くべきものとしており、江戸幕府の公事方御定書(くじかたおさだめがき)下巻48条は、離縁状をとらないで他に嫁した女は、髪をそり、親元に帰すべきものとしている。いったんそった髪は伸びてくるが、その場合の扱いははっきりしない。松平定信(さだのぶ)が白河(しらかわ)藩(福島県)で定めた剃髪刑(博奕(ばくち)打ちに科した)においては、一定の日に名主のところへ行ってそってもらうことに定めている。

石井良助

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世界大百科事典(旧版)内の剃髪刑の言及

【片鬢剃】より

…中世・近世初期に,庶民・郎従などに科した,鬢(頭の左右の側面の髪)の片側をそる剃髪刑。入墨刑などとともに犯罪者を一般の人々と区別し,犯罪予防に役立たせる刑とされているが,本来は,犯罪者を不吉な外貌,いわゆる〈異形(いぎよう)〉にすることを目的とした刑罰であった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」