円教寺(兵庫県)(読み)えんぎょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「円教寺(兵庫県)」の意味・わかりやすい解説

円教寺(兵庫県)
えんぎょうじ

兵庫県姫路市書写(しょしゃ)にある天台宗の寺。山号の書写山の名で知られる。966年(康保3)「証悟(しょうご)の聖(ひじり)」といわれた性空(しょうくう)上人(しょうにん)の開山。平安時代には、花山(かざん)法皇、後白河(ごしらかわ)法皇が参籠(さんろう)、朝野の尊崇を受けた。また、多くの僧侶(そうりょ)の修行道場として栄え、盛時は山上に多くの堂宇が並び、西の比叡山(ひえいざん)といわれた。西国三十三所第27番札所。970年(天禄1)性空が霊桜(れいおう)に観音(かんのん)像を刻み、堂を建てたという如意輪堂(にょいりんどう)(摩尼殿(まにでん))があるが、現存の堂は昭和初期に再建されたものである。花山法皇の御願により創建された大講堂、後白河法皇の創建と伝える食堂(じきどう)ほか、常行(じょうぎょう)堂、護法(ごほう)堂、金剛(こんごう)堂、鐘楼(しょうろう)、寿量院(じゅりょういん)は室町時代以降の再建、復原によるもので、国の重要文化財に指定されている。

[中山清田]


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