内側眼瞼ヒダ(読み)ないそくがんけんヒダ(英語表記)epicanthal fold
plica palpebronasalis

改訂新版 世界大百科事典 「内側眼瞼ヒダ」の意味・わかりやすい解説

内側眼瞼ヒダ (ないそくがんけんヒダ)
epicanthal fold
plica palpebronasalis

上眼瞼(上まぶた)が内眼角(目頭)におおいかぶさった状態。アジア人、とくに北方グループの集団に多くみられ、モンゴロイドに特有のヒダという意味の蒙古ヒダMongolian foldという名称でも呼ばれる。涙嚢(るいのう)を寒気から保護する働きがあると考えられることから、寒冷適応の一つとされる。遺伝様式はよくわかっていない。幼少期に存在した内側眼瞼ヒダが、年齢とともに消失する場合が少なくない。アジア人以外の成人にはほとんど出現しないが、小児には数%から30%程度出現する。また、ダウン症の患者にも出現する。

 出現頻度は、中国人では小児、成人ともほぼ100%と報告されており、東北アジアの集団で高く、東南アジアの集団やアメリカ大陸先住民では低い傾向がみられる。日本列島における成人の頻度は、近畿地方で47.7%と高く、北に向かって減少し、北海道アイヌでは18.9%と最も低い。
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