兄猾(読み)エウカシ

デジタル大辞泉 「兄猾」の意味・読み・例文・類語

えうかし【兄猾】

記紀に登場する大和国宇陀豪族神武東征に服さず、天皇暗殺を企てたが、弟の弟猾おとうかしに密告されて殺された。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「兄猾」の解説

兄猾 えうかし

記・紀にみえる豪族。
大和(奈良県)の宇陀(うだ)を支配。攻めいってきた神武(じんむ)天皇に対して,服従とみせかけて暗殺を計画。弟の弟猾(おとうかし)が天皇につげたため,逆に殺された。「古事記」では兄宇迦斯。

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世界大百科事典(旧版)内の兄猾の言及

【宇陀】より

…記紀によれば,神武天皇は熊野から八咫烏(やたがらす)に導かれて,菟田県(うだのあがた)に入ったという。ここには兄猾(えうかし),弟猾(おとうかし)の豪族がおり,兄猾は征され,弟猾は服したとされる。榛原町大字高塚小字八咫烏に八咫烏神社がある。…

【神武天皇】より

…神武の軍は南に迂回して熊野に入ったところを化熊に蠱惑(こわく)されるが,天津神の助力によって危地を脱し,天津神の派遣した八咫烏(やたがらす)の先導で熊野・吉野の山中を踏み越えて大和の宇陀に出る。ここで兄猾(えうかし),弟猾(おとうかし)を従わせ,以後,忍坂(おさか)の土雲八十建(つちぐもやそたける),長髄彦,兄磯城(えしき),弟磯城(おとしき)らの土着勢力を各地に破り,大和平定を成就する。さらに別に天下っていた饒速日(にぎはやひ)命も帰順して,神武は畝傍(うねび)の橿原(かしはら)を都と定め天下を統治するに至った。…

※「兄猾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」