兄・首・氏上(読み)このかみ

精選版 日本国語大辞典 「兄・首・氏上」の意味・読み・例文・類語

こ‐の‐かみ【兄・首・氏上】

〘名〙
① 第一子。長子。長男。総領。
書紀(720)欽明元年正月(寛文版訓)「是二(はしら)の男(ひこみこ)、一の女(ひめみこ)を生(あ)れます。長(コノカミ)を箭田珠勝大兄(やたのたまかつのおひね)皇子と曰す」
② 兄弟姉妹のうちで、兄。または、姉。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「この琴の調べを聞きつけ給て、御このかみの右のおとどに聞え給ふ」
③ としうえ。また、としうえの人。年長者。先輩。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「この御はらの君たち四所、十一なるをこのかみにて、四五なるおはす」
④ 氏の首長うじのかみ。
※書紀(720)天智三年二月(北野本訓)「天皇(ひつきのみこと)、大皇弟に命して、冠位の階名(しなな)を増(ま)し換(か)ふることを、及び氏上(コノカミ)・民(かき)部・家(やか)部等の事を宣ふ」
⑤ 多くの人々の長たるもの。かしら。首魁(しゅかい)。また、最もすぐれた者。
※書紀(720)舒明即位前(北野本訓)「是に、近習者(つかまつる)栗下女王(もとのひめ)を首(コノカミ)として、女孺(めぬわらは)鮪女(しひめ)等八人、并せて数十人、天皇之側(おほと)に侍りき」
⑥ 兄同様の人。義理の兄。
※読本・雨月物語(1776)菊花の約「兄長(コノカミ)何ゆゑにこのあやしきをかたり出給ふや」
[補注]「この」は「子の」、「かみ」は「上」で、兄弟姉妹あるいは一集団の中で上にたつ者という意であろう。「書紀‐神武即位前・戊午年八月」に「魁帥、此云比鄧誤廼伽瀰(ヒトゴノカミ)」とあるが、「人子(ひとご)」の「かみ」とすれば別語である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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