偏光解消度(読み)ヘンコウカイショウド

化学辞典 第2版 「偏光解消度」の解説

偏光解消度
ヘンコウカイショウド
degree of depolarization

散乱光の偏光特性が,入射光のそれに比較して変化する割合を表す量で,消偏度ともいう.入射光の進行方向と電気ベクトルE両者直角の方向に散乱される光の,E平行および垂直な電気ベクトルをもった偏光成分の強度をそれぞれ II として,

ρ = I/I
で定義される.レイリー散乱においては,散乱を起こす分子の分極率テンソルの成分を αxxαxy などと表すと,入射光が直線偏光ないし自然光のそれぞれの場合に対して,

と表されるが,ここで平均分極率 および分極率の異方性γは,

    + (αzzαxx)2 + 6(αxy2αyz2αzx2)}

で与えられ,座標軸の配向にはよらない不変量である.ラマン散乱においては,たとえば振動によるラマン効果の場合,上式の αij をその基準座標 Qa に関する微係数

(∂αij/∂Qa)0
で置き換えることにより,ラマン線の偏光解消度が与えられる.その場合,全対称以外の振動モードでは

(∂/∂Qa)0 = 0
であることから,つねに

ρ1 = 3/4,ρn = 6/7
となるが,全対称モードでは一般にこれらより小さな値となるので,ラマン線の帰属を決めるための手がかりとなる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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