併し・然し(読み)しかし

精選版 日本国語大辞典 「併し・然し」の意味・読み・例文・類語

しか‐し【併し・然し】

〘接続〙 先行の事柄に対し、後行の事柄が反対、対立の関係にあることを示す(逆接)。そうではあるが。しかしながら。けれども。でも。
(イ) 文頭に置かれる場合。
※浮世草子・好色一代女(1686)二「是よりうつくしきは此里に又なきといふ大夫を、見る迄もなし取寄よといふ。しかしお慰みにもと此夕ざれの出掛姿はしゐして見せまいらすに」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一一「『話す私も飽き飽きします』『然し其位根気があれば大抵の事業は成就するよ』」
(ロ) 文中に置かれる場合。
黄表紙江戸生艷気樺焼(1785)下「もとより身代に不足もなく、末繁昌にさかへ、しかし一生のうきなのたちおさめに、今までの事を草双紙にして世間へひろめたく」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「面白く無いけれども、しかし幾程云っても仕様が無いサ」
[補注]「しかしながら」の「ながら」が省略されたものと考えられる。→「しかしながら(併乍)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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