何となし(読み)なにとなし

精選版 日本国語大辞典 「何となし」の意味・読み・例文・類語

なにと【何と】 なし

事物状況原因などに関してこれと特定し、またはどれと限定し得ないさま。これということもない。どれときまったわけではない。
※枕(10C終)五「霞も霧も隔てぬ空のけしきの、なにとなくすずろにをかしきに」
② とり立ててどうという特徴のないさま。特に変わったことはない。平凡だ。ありきたりだ。
源氏(1001‐14頃)葵「なにとなき御ありきもものうくおぼしなられて」
③ 特に限定する必要のないさま。あれやこれや。すべてを含む全部である。
平家(13C前)七「門をあけて対面あり。事の躰何となう哀也」
④ 特に意識しないさま。自然に。偶然に。なんとなく。
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「此さとに鵜飼一人有けるが、何(ナニ)となく佐殿をみたてまつり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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