佐原新田(読み)さわらしんでん

日本歴史地名大系 「佐原新田」の解説

佐原新田
さわらしんでん

[現在地名]佐原市佐原

利根川左岸にあり、西を横利根川、北を常陸利根川に囲まれた洲の南西部の区域にあたる。利根川を挟んで佐原村の北に位置し、近世前期に成立した佐原村の新田村。中世までは香取海の中に位置し、堆積した土砂による沖積洲島の発達がみられた。正徳四年(一七一四)の根郷五箇村谷地御定納記(伊能家文書)によれば、佐原村に篠原しのわら村・津宮つのみや村を加えた郷三ヵ村は戦国期から領主国分氏の認可を受け開発を行っていたと伝えられる。徳川家康の関東入国後は蔵入地代官吉田佐太郎の支配下にあって反歩改が行われ、年貢を納入していたという。慶長一九年(一六一四)幕府代官の手により検地が実施され、同年八月一四日付の「新嶋領之内佐原村御縄打帳」と記された検地帳(同文書)が存在する。なお新島領とは当時利根川左岸に開発された十六島じゆうろくしま新田などをさす。

開発が進展してきた頃から根郷三ヵ村は江戸崎えどさき(現茨城県江戸崎町)城主土岐氏旧臣の土豪らによって新島領に開起した西代につしろ(現同県東村)などの新田村と谷地の保持利用権をめぐって抗争を展開した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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