低周波空気振動

六訂版 家庭医学大全科 「低周波空気振動」の解説

低周波空気振動
(中毒と環境因子による病気)

 振動する物体から空気を媒体として伝播する、周波数0.1~20㎐(ヘルツ)の音を超低周波音といいます。ヒトの可聴音は20~2万㎐なので、この超低周波音はヒトの耳には聞こえません。環境省では、100㎐前後までの低い周波数範囲の可聴音を含めて低周波空気振動と定義しています。

 低周波音は波長が長いため(10㎐で340m)、障害物による減衰が少なく、比較的遠距離まで伝播します。その強さは㏈(デシベル)値で表されます。発生源は地震、雷、火山の爆発、海の波などの自然的なものと、工場の機械(大型コンプレッサー、振動ふるい、送風機など)、交通機関(高速道路の架橋、新幹線のトンネルソニックブーム:音速以上で飛行する航空機によって発生する衝撃波)などの人工的なものとがあります。

 生活環境への影響として、窓、建具などの振動がみられます。人体への影響としては耳鳴り、頭痛、動悸(どうき)やいらいら、うるささが生じるといわれています。しかし、低周波空気振動に対する鋭敏度には個人差が大きく、かつ障害の固有症状はないとされています。予防対策には、発生源対策として、発生源の位置変更、機械の小型化、住民側の対策として窓ガラス障子などの防振対策、防音装置設置があります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典(旧版)内の低周波空気振動の言及

【振動公害】より

…振動による影響と振動レベル(地表換算値)との関係を表に示した。
[低周波空気振動]
 可聴範囲以下の低い周波数範囲(通常20Hz以下0.1Hzまでとされている)の空気振動を,一般に超低周波音と呼んでいる。環境庁では,苦情の実態から,超低周波音に可聴範囲の低周波騒音(約20~100Hz)を含めて,低周波空気振動と名づけて検討を行っている。…

※「低周波空気振動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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