伝光録(読み)デンコウロク

デジタル大辞泉 「伝光録」の意味・読み・例文・類語

でんこうろく〔デンクワウロク〕【伝光録】

鎌倉時代仏教書。2巻。瑩山紹瑾けいざんじょうきん述。編者未詳。釈迦より達磨大師に至るインドの仏祖29人、慧能えのうより天童如浄に至る中国祖師22人、日本の道元懐奘えじょうの計53人の仏法相伝のありさまを述べ、参禅学道の指南としたもの。瑩山和尚伝光録。

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精選版 日本国語大辞典 「伝光録」の意味・読み・例文・類語

でんこうろく デンクヮウロク【伝光録】

仏教書。二巻。曹洞宗瑩山紹瑾が正安二年(一三〇〇)に加賀大乗寺門下僧に正伝の仏教を説き語ったものを、侍者が筆録して編んだもの。正安年間(一二九九‐一三〇二)頃成立。釈迦から達磨や道元を経て仏法の相伝したさまを述べ、後の参禅学道の指針を示したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伝光録」の意味・わかりやすい解説

伝光録
でんこうろく

鎌倉末期の仏書。曹洞(そうとう)宗の太祖(たいそ)と称される瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)が、1300年(正安2)正月11日から約1年間にわたり、加賀(石川県)の大乗寺で、門下の諸僧に対して正伝の仏法の道統を提唱したものを、侍者が編録した。漢文片仮名混淆(こんこう)体で記される。この種の語録としては珍しく、曹洞宗では、高祖(こうそ)道元(どうげん)の主著『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』と並んで、根本宗典として重要視されている。原本は散逸し、写本が20余種現存する。

[東 隆眞]

『石川素童提唱『伝光録白字弁』(1925・大本山総持寺)』『東隆眞校注『乾坤院本伝光録』(1970・隣人社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伝光録」の意味・わかりやすい解説

伝光録
でんこうろく

『瑩山 (けいざん) 和尚伝光録』の略称。総持寺の開山である瑩山紹瑾禅師の撰述。2巻。正安年間 (1299~1302) 成立。釈尊から日本曹洞宗の懐弉までの祖師の法の相承の略伝。曹洞宗では開祖道元の撰述による『正法眼蔵』とともに一宗の宝典として尊重されている。

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