伊比井村(読み)いびいむら

日本歴史地名大系 「伊比井村」の解説

伊比井村
いびいむら

[現在地名]日南市伊比井

富土ふと村の北に位置し、伊比井川の流域を占める。東は日向灘に面し、西方は山が迫って平地は少ない。北は鶯巣おうさ峠を境に内海うちうみ(現宮崎市)鵜戸うど街道が縦断する。しかし同街道やほかの間道も峠越えが多く陸上の交通は不便であった。一方海運の便はよかった。本村の北、鶯巣峠の南方にあたる鶯巣集落には鵜戸街道の鶯巣関所が置かれていた。水利のよいところ、悪いところとが半分ずつあったため、干害・水害ともに見舞われた(日向地誌)。「上井覚兼日記」によれば天正一二年(一五八四)八月三日宮崎地頭上井覚兼は鵜戸社に参詣しての帰り、「伊比井」に船を着け、川下りなどの川遊びを楽しんだ。覚兼は同年一一月九日にも野島のしま(現宮崎市)での狩の帰りに当地に立寄り、仮屋に一泊している。同一三年閏八月二日には覚兼が折生迫おりゆうざこ(現宮崎市)御崎みさき寺を参詣した折、当地や野島辺りの浦衆による的興行が企画されたが、天気が悪く取止めとなった。同一四年九月二八日、覚兼は豊後出陣にあたって野島浦から足軽を徴するために同所に赴き、翌日は鹿狩を行い当地に泊まっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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