伊勢落村(読み)いせおちむら

日本歴史地名大系 「伊勢落村」の解説

伊勢落村
いせおちむら

[現在地名]栗東町伊勢落

はやし村の東、野洲やす川南岸の平地丘陵に立地。西境日向につこう(多喜山)があり、北東麓に古墳時代後期の金山かなやま古墳群、西麓に日向山古墳群・堂山どうやま古墳群(六地蔵)がある。野洲甲賀・栗太の三郡の境界にあり、東海道に沿う街村。伊勢大路いせおおじ村ともいい、古くから伊勢参詣の道筋にあたったことからの村名という。伊勢斎宮が郡境の当地野洲河原で祓をした斎宮跡とよばれる地があり、現在鳥居が建つ。また寿泉じゆせん神社は斎宮跡であるという(輿地志略)。奈良時代創建と伝える唯心教ゆいしんきよう寺が当地にあったとされ、「興福寺官務牒疏」に金勝こんしよう寺二五ヵ別院のうち高野たかの四ヵ寺の一で、多喜たき山中に養老元年(七一七)義淵開基、仁和三年(八八七)再建、僧房二六宇とみえる。また奈良時代行基開創を伝える相坂あいさか寺があったが、元亀―天正年間(一五七〇―九二)の兵火により焼失したと伝える。

慶長八年(一六〇三)徳川家康が上野国館林たてばやし(現群馬県館林市)榊原康政に在京賄料として「伊勢落村」の二〇石を含め五千石を与えた(「徳川家康朱印状」榊原文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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